「乳ガン」という恐ろしい病気にかかって、周りの人からたくさんの人に愛、勇気、励ましをもらった。
中でも同じガンの先輩から話を聴く、という経験は、本当にありがたかった。


治療の経緯を聴かせてもらうのも、自分の心境に心から共感してもらうのもありがたい。そして何より今、目の前で輝いている人を見ると、「病気になったのは、何かが変わるきっかけなのかも」「自分もこうなりたい」「なれるんじゃないか?」って思えてくる。希望がもらえる。


私は主に、facebookを通じて乳がん先輩を紹介しえもらったけど、世の中にはひょっとして1人で悩んでいる人もいるかもしれない。特に20代、30代の発症者は少ないのだ。


だからブログを通じて、私が聞いた話をシェアし、もらった愛、勇気、励ましが読んだ人にも伝わるために、、「Canser surviver interview」という企画を考えてみた。私、この3つを世の中に循環させていきたいみたいだ。今日はその1回目。スタイリストの河面乃浬子さんを紹介する。


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2014-03-31-14-58-29

















体は小さくとも、パワーがあふれ出してる人っている。明るいオーラとしなやかな意志。乃浬子さんはそんな女性だ。

----------乃浬子さんが乳がんであることがわかったのはいつなんですか?
「もう15年くらい前になるかしら。その頃私はNYのジュエリーショップで働いていて・・・2年連続で乳がん検診で「グレー」、つまり要経過観察と言われたのよ。検診に行くと、私だけブレストサロンに居残り。そして生検に送られる。それでも結果が出ないのが、とにかく不安でね。同じ時期に子宮筋腫の摘出手術をしたのもあって、ちょっと疲れちゃったのかな。ウフフ。ちょうどNYで『やりたいことはやり尽くした』って感じもあっから、帰国を決意したの。そして帰国後数年経って、やはり乳がんが進行していたことがわかったの」


乃浬子さんは、広告会社を経て、フリーランスのスタイリストとして、いろいろなCMのスタイリングを手がけていた。聞くと、ポール・ニューマンやハリソン・フォードといったハリウッドスターとも仕事をしたことがあるのだという。

好奇心が動く。

----------日本での仕事も充実していたのに、どうしてNYに行こうと思ったんですか?
「そうね、ライトパブリシティというすばらしい広告会社から、フリーのスタイリストになって結構活躍していたから、それまでの貯蓄をぜ〜んぶ持って行っちゃった(笑)33歳の時だったわ。直接のきっかけはポール・ニューマンが出演するCMの仕事をした時、アメリカのスタッフの仕事ぶりに出会って、『このダイナミックな人たちと働きたい!』と思ったの。直感?かな!」


乃浬子さんの笑い方はカラカラと気持ちがいい。その笑い方を見て、「この人はやりたいことをやってきた人なんだな」と感じる。当時は湾岸戦争でNYは不景気、仕事もままならなかったけど、そんな中でもニューヨーカー達の遊び心は、常に刺激的だったそうだ。


----------どうして乳ガンになったんだと思いますか?
「NYに行って最初の2年はパーソンズでインテリアデザインを勉強したのね。寝る間もないほど課題が大変で。あの頃のストレスや食生活…つまり当時の私のライフスタイル(生活習慣)が、ガンを作ったんだと思う」

タフな学校生活を思い出したのか、乃浬子さんの顔がフッと曇る。「もう1回しろって言われても、もう絶対ヤダなぁ」って子どもみたいでカワイイ。
学校を卒業してからは、インテリアショップやジュエリーショップで働いていたということ。


----------日本での治療はどんな経過だったんですか?
「私の場合、母が先に乳がんであることがわかって。叔父が以前、東京医大の学長だったので、診察についていったのよ。そこで『先生、私も実はNYで』で言ってむりやり診てもらったの。最初は『あなたみたいな若い人が』って言われたけど、触診をして、ハッと先生の顔色が変わったの。」

患者って敏感だ。触診をした時、マンモやエコーの映像を見た時の医者の様子が、言ってみれば軽い告知だった人も多い。私の場合は、マンモを見た医者と看護婦が、バックオフィスに「生検出るかも」って言ってるのをカーテンの陰で聞いた時だけど。

「はるちゃんのブログを見て、思い出したんだけど・・・病院の連絡ミスでね、全摘の手術を、もう私に告知をしているとサブの先生が勘違いして。『全摘手術の日程は…』っていきなり言われて。『聞いてない!』って愕然として…ホントに悲しかったわ」

乃浬子さんの乳がんは、乳房に広がるタイプで、リンパ節にも転移があった。ステージは2b。ホルモンレセプターはプラス反応。


---------どうしたんですか?
「『徹底的に検査し直して納得がいくように説明してください』ってお願いしたの。そしたら先生方が改めてMRIを撮り直したりして『ここまで調べて、全摘が必要な状態なんです』ってところまで落とし込んでくれて。そっか…って納得したのよ。 母も乳がんっていう診断だった。母のケースは他の病院だと『術後1カ月入院』と言われていて、主婦だし困るじゃない、1カ月も。途方にくれていたところをこの東京医大の先生は、『1カ月?あなたの場合は日帰り手術で大丈夫ですよ』って言われてね。そしてその通りになったのよ。母は今も元気で暮らしている。ホントに医療って先生や病院との相性ってあるよね。自分で選択する大事さをその時学んだわ。」



----------そして、片胸を全摘された・・・再建しないのはなぜですか?
「何度か先生にオファーを頂いたけど、どうしても体に異物を入れるのがイヤなのよ」

乃浬子さんはあっさりとそう言った。リンパ節転移があると、現代の標準治療は抗ガン剤治療を勧められる。それも「髪が抜けるほど強烈に、健康な細胞を殺すのがイヤ」と断ったそうだ。手術後はホルモン治療のみ。


乃浬子さんの話を聞いていると、「自分で選択する」ということを意識させられる。


「手術をして治してもらう、っていうんじゃなくて『自分で治す』っていう意識が大切だと思ってるの。自分で手術はできないから、お医者様を信頼して後は委ねる。自分の選択だからね。何が起こっても何とかなる、きっと健康に戻れる!と思ってると、なぜかステキなご縁があって惹きあっていくみたいなの。」


乃浬子さんは、心身を病んだことからセルフイメージが何より大切なことに気づいて、現在、外見と内面を統合する『セルフイメージスタイリスト』をしている。

セルフイメージって、自分に対するイメージってこと。既に持っているのに気付いていない、相手の魅力をライフタイルを通じて参加していきたい、そのためにBESMOWと言って、Breeze、Eat、 Sleep、 Move 、Wearの生きる基本を応援するライフスタイリストを目指しているとのこと。

だからウォーキングインストラクターも!
これはリンパ除去の影響で左手が上がらないため、リハビリを兼ねてビューティーウォークを始めたことから、つながっていったことなのだと。いろいろしてるけど、すべて流れにまかせていった結果なのだという。転んでもタダで起きないヒトだ。




----------最後に、病気になったことをどう思っていますか?
「病気も今の私の大切な経験だから、なって良かったと思ってるの。全ての経験があって今の自分になる・・・その中の病気という1ピースが無かったらパズルは完成しないわ。病気が私をこんなに成長させてくれたのだと思えたら、何事にも感謝できちゃうよね。」



乃浬子さんほど、乳がんを・・・ううん、人生の困難をポジティブ、いや、彼女流にいえば『楽観的』に捉えている人は珍しいのかもしれない。
でも・・・人生を振り返り、立ち止り、起こった出来事に意味を求められたら、どれほどたくさんの財産が潜んでいるだろう。それこそ・・・唯一無二の。それは誰にも奪われない宝物だ。


「ジャンプする時はいったん屈むじゃない?これからの人生が輝くためには1度とことん屈みこんでもいいんじゃないなっ」

そういう乃浬子さんの言葉を、とてもまぶしく聞いている私がいた。




☆乃浬子さんの今の活動はこちらで☆
URL
http://www.bonne-maturite.com/
http://ameblo.jp/bonne-maturite/
https://www.facebook.com/noriko.kawamo
https://www.facebook.com/bonnematurite?ref=br_rs



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癌を乗り越えて生きているサバイバーの方に、癌になって何が変わったのか、何か明確になったのか、その人生を聞くインタビューをしていきたいと思います。自分を語ることで、周りに勇気を与える存在になりませんか?まずは自分の知り合いから、と考えていますが、いずれは投稿を見た方に応募して頂こうと考えています。

読んだ方に存在をリアルに感じてもらいたので、基本的には本名と写真を載せさせてくださる方にしたいのですが、どちらか一方でもかまいません。皆様、考えておいてください。