以前から気になっていた、長尾和宏医師の著書「がんは人生を2度生きられる」を読みました。

題名がとても印象的ですよね。
「一体どういうことなんだろう?」そう思わせられます。


内容は、治療中に誰しも思うような疑問について、平易な優しい言葉で答えられています。

例えば、

・「早期です。」と言われました。完治すると思っていい?
・抗がん剤できればやりたくない。どうやって決めたらいい?

など。



スタンスとしては、標準治療を進めてるんだけれども、私たち患者の「抗がん剤嫌だなぁ」や「がんの放置がいいって本当なのかなぁ」とか、積極的治療が嫌だと思う気持ちに理解を示して寄り添いつつ、ご自身の町医者としての経験や現在の治療のメインストリームからの意見をわかりやすく解説されています。町医者らしい親しみある口調が、暖かい雰囲気です。


患者も医師に遠慮することなく質問をしたり、本を読むなりして、主体的に治療に取り組むことが大切だと説かれています。


強調されているのは、「がんが死ぬ病とは言い切れない」点。

現代の医療では、がん宣告されても、10年生存率は60%とのこと。

宣告されたばかりの人は、病名の重さについ悲嘆にくれがちですけど、数字の面から冷静に説かれます。

タイトルにもありますが、がんとはがん宣告以降の2度目の人生を考えることができる病気なんですよ、と説かれています。
宣告後の「おまけの人生」をどう充実させていくのか。

死を意識したからこそ、充実した濃い時間を過ごすこともできると、実際の患者さんの例を引きながら紹介されているのです。



読んでいただくとわかるのですが、医師として責任を持って患者の治療にあたっていらっしゃるのが伝わってくるので、よくある眉唾の「とんでも本」とは一線を画していると思います。



冷静で広い視野からの意見と、暖かくて人間らしいユーモアと。
ホッと一息つける感じです。

たまにブログを読んだ読者の方から、がん治療について相談を受けるのですけど、多くの方は「それは主治医に率直に聞いてみればいいのでは?」ということを悩んでいらっしゃいます。
大学病院などは非常に忙しく、忙しさのあまり患者が話しやすい雰囲気を作れないお医者様もいますよね。
遠慮がちな性格の方は質問しづらいのでしょう。

私の主治医のK先生や、この長尾先生のように、丁寧に向き合って、小さな疑問も答えてくれるお医者様が増えればいいな、と思います。

あまり本は読まないんですが、考えが深まったり視野が広がったり、良いことがたくさんあるので、これからも読んだら書評をアップしていきたいです。


この本で説かれるまでもなく、がんになると、改めて自分はこれからどんな人生を送っていきたいのか考える人が多いと思います。

やり残したことを、やり遂げてから死にたい、今までのようにせかせかと生きるのではなく、もっとゆっくり毎日を送りたい・・・人によって様々ですよね。

一人一人のほんとの願いが出てくると思います。

以前から思っていたのですが、
がんとは、自分の人生を振り返り、より意味のあるものにしていく、そういった機会を与えてくれるものだという思いを強くしました。

「死」に真剣に向き合うからこそ、「生」を明らかになる。
皆さんは、どんな生を生きたいと思いましたか?