パーソナルコーチ「はる」の、乳ガンとともに生きる日々

コーチが「がん」になったらどう変わっていくんだろう?

ニックネーム はる
名前 北條良子(ほうじょうりょうこ)
職業 パーソナルコーチ、研修講師。
資格 米国CTI認定 Certified Professional Co-Active Coach (CPCC)
HP  http://ryo-ko.net


2014年1月に乳がん告知を受け、4月に温存手術を受けました。現在はホルモン治療中です。癌告知をされた時は、やっぱり頭に死がよぎりました。元気になったいま、残された命を、同じように病気で悩んでいる人のために使うことを決めました。

あなたは乳がんを経験して、これからどう生きたいですか?
コーチングという対話を使って、自分の中の答えを見つけませんか?

神奈川県在住。小学生男児、1児の母。




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タグ:副作用

*放射線治療が終わる2日前についての覚書


私には、乳腺外科医のK先生の他に、もう1人放射線医の主治医がいる。


名字が同じKなので、KM先生と呼ぶ。年は40代だろうか、背が高く、とても痩せている。いつも物静か。メガネをかけた白い顔からは、「インテリジェンス」って言葉を連想する。


KM先生とは、毎週火曜日、放射線治療が終わってから診察。経過や副作用を報告したり、質問したり。


こないだの火曜日は、最終診察。

「長い期間、がんばりましたね〜」と静かにねぎらう先生。


「はい」と、冷静に答えながらも内心すごくうれしい私。認めてくれる人がいると、苦労が報われる気がする。主治医ならなおさらだ。


先生によると、ガンによって放射線を当てる日数に違いがあり、早いものだと10日くらい。1番長いのは、前立腺ガンで、35日もあるという。


「放射線を当てている部分はどうですか?」と聞かれるので、ヒリヒリしたりかゆみで朝の4時頃に一度起きる生活であることを報告。


すると「リンデロン」という塗り薬を処方するとのこと。ただし、放射線を当てる前にはシャワーで落とさないといけないということ。あと、2日、放射線が残っている。ふむ、明日から朝にシャワーが必須になるな、と考える。




副作用について、最近、気になることあった。
ミュージシャンの坂本龍一が、中咽頭癌になったというニュースが最近あった。

「中咽頭癌」、初めて聞く…一体どんなガンで、どんな治療が必要なのか。ネットでググってみる。

そこで初めて知ったのは、頸部のガン治療のためには、やはり放射線が用いられることが多いけど、乳がんと比較して、副作用が大きい。


患者の方の闘病ブログを読むと、

*味がわからなくなる
*つばが出ない
*顎の骨が炎症を起こす
*口内環境が悪くなることで、虫歯になったり歯が抜けたりする


などで、何年もその後遺症になやんでいる人が多い様子。乳がんの場合、日焼けに似た症状が出ると説明されるだけだったので、放射線の副作用について、深刻に考えたことが無かっただけに驚いた。


そのことをKM先生に言うと、
「そうなんです、首というのは副作用が出やすいところで…放射線を当てているところに痛みも出ます。その点、乳がんは皮膚というか、体の表面なので、あまり副作用が無いんですよ」

とのこと。
自分について安堵の気持ちが広がるとともに、もっと苦労している他のガン患者の人のことを考えると胸が痛んだ。


「ただし」
と、突然KM先生が言う。

「乳がんの場合、乳房に放射線を当てているんですが、肺もかすめています。そのため、100人に1人の割合で、肺炎になります。」

「!」

100人に1人というのは、少ないように思うが、ガンになった身として「充分になる可能性がある数字」。世の中に「絶対なる」、は無いが、「絶対にならない」も無い。


「しかも急激に悪くなることがあるので、変な咳があったら、夜中でも救急に来て下さい。目安として1ヶ月後になることが多いです」

というわけで、9/25に改めて来院を予約。それが最後の済生会中央病院だろうか…


ちなみに…
中咽頭癌の方々の闘病ブログは、読んでとても励みになった。皆さん、日常から感じる副作用の苦しみを様々な工夫で対応し、「術後4年、今ではジムに週3回」などと書いてあると、胸が熱くなって、自分も頑張ろう、と思う。


元気になった人たちも、告知当初は「自分はこれから一体どうなるんだろうか」と言いようのない不安に飲み込まれそうになったり、不摂生な生活を悔いたり…どの気持ちも自分と重ね合わせて思い当たるものがあった。


最近、体力が落ちたこともあって、ブログの更新も滞りがちだったけど、書き続けていくからこそ、伝えられるものがあるんだなぁ、と思った。


私も数年後、「こんなに元気になりました」と届けられるといい。


ただ、1度壊れたものは、つなぎ合わせても元には戻らない。元気になる、って言っても、前と同じ、ではなく、違う元気になることを目指した方がいいんだろうなぁ、とままならない自分の体から最近感じている。


私にとっての「ちょうどいい元気」ってどんなだろう…ただ今、模索中だ。


*これが放射線当てる機械。勝手に「リニアっくん」と命名。 ベッドに横になって、照射されます。

2014-06-24-08-54-15

今日のK先生との診察が、済生会中央病院での最後の診察。先生は今月末で亀田京橋クリニックに転院する。それに私もついていく。


犬は人になつく。猫は家にいつく。

患者は医師についていく。

そんな言葉を作ってみたくなる。


「こないだリュープリンを打ったけど、どうだった?何か副作用とか…」

久しぶりに会ったK先生。

よく聞く副作用が、ホットフラッシュだけど幸いにもそれはない。ただ…お腹や背中がとっても痒い!
赤い発疹みたいなのもできる。夜中、気づくと体をかきむしっている。


「先生、蕁麻疹ができまして。すごくかゆいです」
「うーん、薬に入っているもので、たまにアレルギーになる人がいるんだよね。次は9月に打つから、またなったら1ヶ月製剤に変えようか」


1ヶ月おきに注射を打ちに行くのはとてもめんどくさい。そんなことを内心思いながら「はい」と返答。


「たまに更年期障害みたいになる人もいるんだけど、ならなかったんだね」
「そうなんですよー!大丈夫でした!ところで、生理が来ちゃったんですけど、いつから止まるんですか?」

逃れられないと思っていた副作用。急に浮かれた気持ちが湧いてくる。


「今月来たら、来月はこないね。副作用は、今から2、3週間後に始まるかな?」


ビックリである。ま、まだだったのかぁー!
えーーー、っていう私の顔を見て、「あ、ならない人の方が多いから」とあわてて先生はフォロー。


ちょっとショックな出来事だった。


薬のきき方、なんかは本当に患者には知識が無い。先生、忙しいのはわかるけど、もうちょっと丁寧にお願いします。



「他には?」って聞かれて気を取り直す。
「リュープリンが高くてすっごくビックリしたんですけど、保険がきいてあの値段なんですか?」


注射1本で驚異の2万越え。がん治療の厳しさを実感した出来事だった。


「そうなんだよ、保険はきいてるんだ。まだ後発薬が開発されてなくて。それでその値段なんだよ。ちなみに…1ヶ月製剤に変えると、もう少し高くなる」


かゆみと戦う決心が改めてつく。これ以上はきつい。


聞きたいことは聞けて、京橋亀田病院の紹介状をもらって。サクサクと事は進んでいく。次に先生に会うのは9月。


少し、涼しくなっている頃かな。

放射線治療も終わって、私はどんな私になっているだろ。

乳がんのこと、少し忘れるようになっているかも。


どんなことをしているのかは、まだ想像ができないけど、明るい顔で過ごせているといい。

もらった命、せっかくだから楽しめているといい。
















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