『地獄のまっただなかにいると思ったら、そのまま駆け抜けろ』と言ったのはイギリスの元首相チャーチル。


この2ヶ月間ずっと傍らに置いてきた言葉。


文字通り駆け抜けて、今、やっと一息つける場にたどり着いた…でもこれは私1人の力じゃなくて、助言をくれたり、人とつなげてくれたり、私のとめどない繰り言をトコトン聴いてくれた人たちのおかげ。



その中の1人に友人の智子さん、がいる。いわゆる地元のママ友だ。今日は彼女を記録に残しておきたい。



ふたつ目のしこりが癌なら全摘、とS大学病院で説明されても、私はどうしても乳房を失うのがイヤだった。思いきれない…その想いでモンモンとしてたけど、周りの家族、友人に話すと、「それは全摘をした方がいい」っていう人の方が多かった。


だから悩んだ…
自分の想いがワガママなんだろうか?、
病院の梯子をするのはムダなことなんだろうか?って。後どうして私の気持ちをわかってくないんだろうという感情もあって、なんだか孤立した気持ちを抱えてた。


今となっては、そりゃそうだろう、って思う。関係が濃い人ほど、私を失うのを恐れてくれるものだから。



Facebookを見て連絡をくれた智子さんに、ファミレスで、自分の想いを言ってみる。やっぱり全摘を勧められるのかしら…なんて思いながら。



私の、想いだけが先行してわかりづらい話を聞いた後、彼女はこういった。



「あのね…。私…股関節の病気で、3歳まで歩けなかったの。3歳の時に手術して、歩けるようになった。でも脚にこーんなに大きな傷が残ったのよ」

そう言いながら、彼女は腰から太ももまで大きく指を滑らせた。

そうだったのか…全くふつうに歩いているから、何にも気づかなかった…


「だから傷を見ると、今でも手術なんて受けなきゃ良かった、って思う時があるわ。」そう言いながら、まだ言葉を続ける。



「私のお母さんだってね、甲状腺の癌で、何年か前に手術したの。そしたら首に傷が残って…もうお婆さんなのに、すごく気にして、スカーフを巻くのよ。」

今度は首の前で手を真一文字に滑らせた後、スカーフを巻くマネをする。


「だから……はるさんが胸を切りたくないって思うのも当然よ。医療には質を求めていいと思うわ。質って大切よ。」


医療の質…
おなじ乳がん患者でも、見つかった時点で「もうこれは全摘をするしかない」って人が大勢いる。ネットにその情報は溢れてる。それを思うと口には出しづらかったことを彼女はズバリと言ってくれた。


命はもちろん大切。だけど他にも大切にしたいものがある。


いつも気さくで爆笑ばかりさせてくれる彼女。

いつもと違う彼女の言葉は、とても私の力になった。もちろん人生には、つらい決断をしないと生き残れない時がある。でも…まだ…やるだけやってみよう、諦めるにはまだ早いって。


これを読んでる人の中に、もし何かを諦めようとしている人がいたら、伝えてみたい。


諦めるには、まだ早いかも、って。




*この後、私は乳がんの先輩患者に会って、様々な話を聞く。中にはやっぱり全摘を選択しないといけなかった人も多かった。その人たちは、みな優しくて、私の検査の結果が良いよう願ってくれて。いろんな気づきがあった。その話は、また後ほど……