「気になるのは、ここにも何かあることですよね?これは何も言われてないの?」
先生の言葉と一緒に、じんわり広がる不安。私、病気のこと舐めてたかな……?




今日は国際展示場にある「がん研有明」でセカンドオピニオン。ここでファーストオピニオンについて、意見をもらって、いろいろある疑問も答えてもらうつもり。

巨大で美しい病院。溢れる人。受付の待ち時間は20分ほどあったけど、それを済ますと、すぐに診察室へ。

初老で白髪が多い、真面目そうなI先生に説明してもらう。いろいろ聞いたけど、以下抜粋。

・ ファーストオピニオンの大学病院で手術を受けるのか迷っているが、どこで受けても同じだろうか?
→ 術式が違えば、もちろん違うだろうが、現在は腫瘍が小さいので、ほぼ同じになると推測する。

・ ホルモン療法は受ける必要があるか?
→ ホルモン療法が非常に有効な癌。今、リンパ節転移が無いと仮定して、治る確率が90%。ホルモン療法を受ければ95%に上がる。副作用も少ないので、受けたくない理由が明確でなければ、受けたほうがいい。

・ 脇のしたに近いが、リンパ節転移の可能性は?
→ 脇に近いことが転移に関係あるかは、医師によって見解が異なる。手術時に転移がわかる可能性は20%。


絵を書きながら、すごく丁寧に教えてもらえる。わかりやすい。そして、「それより気になるのがね…」と言われたが、冒頭の言葉。MRIの画像をグリグリ廻してマウスで指し示された先、乳首に近い外側に、白い影が映ってる。

「あー……ありますね。」
私、すごく残念な声をしてたと思う。
「ここにね、5mmくらいなんだけど、しこりがあって、良性かもしれないけど、今ある癌の延長線上にあるようにも見えるでしょ?調べたほうがいいね。」

「もし、つながってたらどうなりますか?」
「切るところが大きくなるから、いっそ全摘で、ってなるかもしれない」
言っても仕方ないけど、思わず口から出た言葉。
「先生、全摘はキツイです…」


この病気になるまで、命が助かるなら悪い部分を切除するのは仕方のないことだと思ってた。乳房や子宮、無くても生きていけるでしょ。命が無くなるよりいいでしょ、って。この病気になって感じたのは、胸や性器は自分のアイデンティティと知らず知らず強烈に結びついていて、切り離して考えるのはとても難しい、ってこと。切るって、自分の中の一部を切り離すように感じる。


I先生は、ひょっとしたら良性かもだし、つながってない別のガンなのかも。って優しく慰めながら、元の先生にお手紙書いておくからねって。

がん研に転院できる可能性を聞いたけど、「手術は二ヶ月待ち。治療は乳腺科の医師ならば変わらない。10年通うことを考えたら近い方がいいし、また今日から手術まで二ヶ月待つのって、精神的に良くないでしょ?」って諭しモード。確かに遠いし、待つのも嫌……


安心するために来たセカンドオピニオンだけど、予想外の結果に帰りの気分も沈みがち。でも正直、沈んで当然だし、落ち込んでいいと感じてる。これで落ち込まない人、いないとおもう。今は、今の感情を思いっきり味わってみようと思う。